南岸低気圧型の事例 -1996年2月17・18日-

1.気象概況と影響

・全国

天気図(1996年2月17日9時) 日本列島は17日〜18日にかけて南海上を進む前線や低気圧の影響で、18日午前には横浜で22cm、東京で14cmの積雪を記録するなど、関東地方から近畿地方にかけて大雪となった。このため、気象庁は東京都や神奈川・山梨・静岡県などに大雪警報を発令し、大雪に対する警戒を呼びかけた。この大雪の影響で陸と空の交通が大幅に乱れた。また、青梅マラソンなどのスポーツ行事が中止になったり、入試の開始時間を遅らせる大学も出た。

天気図を見ると、17日は日本の南海上に前線が停滞して太平洋側を中心に雪を降らせていることが分かる。18日はその前線上に発生した低気圧が日本の南海上を通過し、関東地方を中心に雪を降らせていることが分かる。また、両日とも大陸に目を向けてみると、1060hPa以上の気圧を持った非常に強い高気圧があり、ここから強い寒気が流れ込んだために雨ではなく雪になったと考えられる。

天気図(1996年2月18日9時)

 

・静岡県内

県内では、17日朝からほぼ全域で雪が降り始めた。しかし、平野部では日中はみぞれや雨に変わった所が多く、17日に積雪が観測されたのは山間部が中心となった。夜半ごろから県中・西部、伊豆の沿岸部を除いて再び雪に変わって強く降り始め、18日の昼前まで降り続いた。そのため、18日は平野部でも積雪が観測された。静岡では2cm積もり、1984年以来12年ぶりの積雪となった。また、県東部の山間部を中心に30〜40cmの積雪となり、御殿場では35cmの積雪を記録した。この雪による県内への影響は、道路関係では東名高速道路が17日22時過ぎに沼津〜神奈川県大井松田インター間の上下線で通行止めとなり、18日未明から昼頃にかけては全区間が通行止めとなった。一般道が18日正午現在、31路線35か所で通行止めとなり、県東部や伊豆の山間部の道路は軒並みチェーン規制が行われていた。この規制は一時、平野部の市街地周辺にまで及んだ。このため、スリップ事故が相次ぎ、金谷町の国道1号線ではトレーラーの単独事故で運転手が重傷を負った。静岡市でも車5台が関連する事故で2人が軽傷を負った。鉄道関係では東海道新幹線が18日午前、全区間で徐行運転を行い、県内の各駅で40〜60分の遅れが出た。在来線も18日午前中、東海道・身延・御殿場の各線で列車の運休や遅れが相次いだ。電力関係では、静岡市黒俣などで正午頃約1分間停電した。同じ頃、静岡市の駿府公園周辺などでも瞬間的に電圧が低下する現象が見られた。中部電力静岡支社によると、高圧電線への着雪が影響したと見られる。

(参照:静岡新聞)


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